~現場で固定する種類とテクニック~
傷害処置に固定は、つき物です。現場で使用しやすい商品を使いこなすことや、身の回りのもので工夫し同じような効果を上げることが出来るテクニックが必要とされます。
固定の種類
様々な固定法がありますが、ここでは、私たちトレーナーが応急処置に使用しやすいものや、手軽に出来るテクニックが中心になります。
固定の種類としては、お湯(80℃前後)に浸し、その熱によって軟化することで形状を整え補強処置を行うものや、水に濡らすことで硬化するタイプのキャスト類、アルミ合金版にウレタンフォームとの一体型によるもの、副木とクッション材が一体化したもの、はじめから部位が限定されているブレースやスプリント類などがあります。
さらに、テーピングの空き箱を使用した工夫などを加えると、その種類が豊富なことが分かります。
それぞれに、特徴がありますので傷害の種類や、トレーナーの技術によって選ぶことになります。
 
商品の選別
コストや使用環境・目的によって、商品の選別が変わってきます。
コスト: コストは重要な問題です。予算の少ないクラブチームや学生チームなどは何をするにも予算がネックになってきます。その中で固定具に割ける部分はかなり少ないものになってくるチームも少なくないと思います。そうなると副木や空き箱などが低コストでの固定具になります。固定具は、頻繁に使用する物品ではありませんが、スポーツ現場では確実に必要な物品の一つですので、予算に関係なく様々な工夫によって確保しておく必要があります。
加工: 細部にわたっての確実な固定や、特殊な部位の補強や固定を行う際には、カットや接着などによる高度なテクニックが必要となります。さらに素材の種類も考慮すると、完全固定・部分固定・動きを残した状態での固定と、様々な方法が可能となります。
各商品にはそれなりの特徴があります。
特に、水によって硬化する物と、熱によって軟化するものは、きる・曲げる・貼るなどの工夫がしやすく現場の対応に優れています。
天候: 固定具には水分によって硬化するものがあります。これは湿気の多い日本では現場での保管は注意しなければなりません。とくに、活動日が雨天の場合はこのような固定具は全て使用不可能になってしまう可能性もありますので、このような商品を使用する場合は、注意が必要です。勿論、ダンボールによる固定も、雨天時の固定には適していません。種類が豊富であれば雨天時には副木などを用意しておくと便利でしょう。
場所: バスケットボールやバレーボールなど体育館を使用するスポーツでは、トリートメントを行うスペースが室内になる為、グランドに比べると使用物品の種類は豊富になります。お湯を沸すことも問題ありませんし、電源が必要な場合なども室内の環境ならではのものですから、バリエーションはさらに増えると思います。
逆に、グランドでは熱を起こすことが難しい事や、電源などが使用しにくいことから、使用物品も考えなければなりません。グランドでは簡単に固定できる副木や、水によって硬化するものの方が、適切な処置がしやすいものです。
固定法
水硬化性のオルソグラス(非売品)をはじめ、傷害の種類によっての様々な商品を使用した固定法を紹介します。今回使用した物品は以下のものです。

◆オルソグラス(非売品)
素材の特徴: 水硬化性ファイバーグラスが肌触りのよいフェルトパッドに覆われている。
ファイバーグラスとフェルトパッドの一体構造で、水さえあれば場所を選ばない。
フェルトパッドをはがし、ファイバーグラスだけ加工する事も可能。

◆ダンボール(テーピングの空き箱を利用)

厚さや大きさが豊富にある。
簡単に手に入る。


◆ポリ袋(i-Gear 商品名「クライオ・バッグ」)

通常は、アイシング用として使用している。
71cm×45cmサイズXLを使用




部位:手部 傷害例/CM関節損傷
空き箱で固定⇒テーピングの空き箱
(1) オルソグラスタイプと同様にひし形にカットする。
(2) 定規を使って3等分に折り目をつける。
(3)

ひし形に親指を入れ、弾性包帯で固定する。



部位:手関節 傷害例/手関節固定
水で濡らして固める=オルソグラス(非売品)
(1) オルソグラスの長さは、半分にしたときに手首が覆われる長さにして中心に線を引く。
(2) フエルトを剥がして半分部分にカットを入れるが最後まで切らない。そこから斜めにもカットする。また、斜めに切ったところから約2cm離れた所に半円をカットする。
(3)

中心部分を折り、半円カットしていない方を手の甲側にくるように折り、バンデージ固定する。



テーピングの空き箱を使用=ダンボール
(1) 手の幅に合わせた大きさを2枚用意し、1枚には片端に半円にカットをする。
(2) 2枚を写真のように約2cm程度離し、テーピングでつなぐ。
(3)

テーピング部分を手のはらに合わせ、弾性包帯で固定する。


水で濡らして固める=オルソグラス


(1) オルソグラスの長さは、手関節~上腕半分が覆えるくらいの長さにする。
(2) 4等分にして、その半分に線を引いてフエルトをカットする。
(3)

ファイバー同士がくっつくように水で濡らし直角に曲げる。
そうすることで、直角に曲げた部分が安定し肘関節90°に固定される。


(1) 大き目のビニールを用意する。
(2) ビニールの底を約15cm残し、U字にカットする。また、底の端を半円カットする。
(3)

切った端から手を通して切っていない角に肘を入れ安定させる。

(4) 首の後ろで結ぶ。

参考文献:
ベースボールマガジン社
コーチングクリニック 2007年1月号掲載分
i-Gear商品使用文献です。


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